2002年(平成14年)1月28日(月曜日)読売新聞 地域ニュース 群馬中毛・西毛より 、そのまま掲載しています。
慣れた手つきでカクテルを作る増田さん。 グラスやシェーカーを手にしたときの 表情は真剣だ(前橋城東町で) 県内で最も歴史があるバーとされる前橋市城東町の「マンハッタン」が開業 40周年を迎え、27日、これを記念するパーティーが有志主催により開かれた。 客や若手バーテンダーが「おとうさん」と慕う経営者の増田茂さん(78)も 今年でバーテンダー歴60年の節目を迎え、約170人がお祝いに駆けつけた。
銀座、横須賀 そして前橋 通算60年
マンハッタン40周年パーティーで、なじみ客と談笑する増田さん(左手前)
「マンハッタン」経営40年
増田さん
 左利きでカクテルを作る増田さんは、東京・神田の生れ。尋常小学校卒業後、 相場師だった父・菊次郎さん(故人)を手伝っていたが、太平洋戦争が始まり 株取引が停止となったことから、バーテンダーの道へ。
戦前と終戦直後は銀座で、その後は横須賀でシェーカーを振った。物資難の頃は 、希少品だったレモンを「吐息で揺れるぐらい薄切りにして」カクテルを作った という。
群馬県最大規模の総合会館建設にあわせ、開業スタッフとして招かれて 前橋に来たのが1961年。この時に任された地下のバーの 名前を引き継ぎ、25年前に独立開業した。
 92年には、日本バーテンダー協会(東京・千代田区)から マイスターバーテンダーの称号を授与された。
 協会によると、国内のバーテンダーは現在焼く六千五百人。最高齢は84歳で80歳前後の会員も 何人かいるという。増田さんは60年を「起伏はないが、金銭の勘定をきちんとしたから続けられた」 と淡々と振り返り、「前橋での40年間に、言葉や形には残っていないけれど、人間の良さを頂戴してきたんでしょうね」 と話していた。
 パーティーは前橋商工会議所内のホールで開かれ、地元財界の常連客や飲食店の若手経営者らが出席。 フランス料理のフルコースと、協会の若手バーテンダーによるカクテルのサービスを楽しみながら、 「次の50周年記念でも駆け付けますよ」と増田さんを祝福していた。事務局の中村容巳さん(40)は 「おとうさんは若手バーテンダーのあこがれであり、誇り。これからも元気にシェーカーを ふってほしい」と話していた。